【ワシントン時事】昨年3月まで米国務省の北朝鮮担当特別代表を務めたジョセフ・ユン氏は時事通信のインタビューに応じ、トランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の3回目の首脳会談が行われる可能性は「十分にある」と強調した。成功させるためには過去の会談で機能しなかった非核化に関する実務レベルの準備が重要になるとの認識を示した。
2月末にハノイで行われた2回目の米朝首脳会談の決裂は、実務レベルでの準備不足と両首脳の過信が原因だと分析。双方がそのことを認識したのが「失敗から得た成果だ」と指摘し、正恩氏が対話への意欲を失っていないことも「良い兆候だ」と語った。
その理由として、米国通外交官として知られる崔善姫氏の国務委員への昇格を挙げた。正恩氏が米朝交渉で、軍出身の最側近、金英哲党副委員長よりも、外務省に頼ろうとしている兆候だと評価。対米交渉の経験が豊富な李容浩外相や崔氏が実務協議の前面に出ることに期待感を示した。
トランプ氏がハノイ会談で正恩氏に求めた「ビッグディール(大きな取引)」は、(1)非核化の定義(2)核兵器の申告(3)非核化の工程表だったという。北朝鮮はこれを拒否したが、ユン氏は「最低限の要求だ」と述べ、今後の交渉でも米側の基本線になると示唆した。
一方、北朝鮮は米国が大統領選一色になる来年には真剣な交渉を避けるとの見方を示し、「年内に何らかの制裁緩和を得ることを望んでいる」と指摘した。