- 劉鶴副首相は9、10両日に訪米-中国商務省が発表
- 中国の報復、米国が関税引き上げた1分後に発動も-関係者
中国政府の貿易交渉を率いる劉鶴副首相は今週訪米し、米側との交渉に臨む。トランプ米大統領が関税引き上げという脅しで圧力を強める中、貿易戦争の停戦維持は危ぶまれている。
中国商務省が7日にウェブサイトに掲載した声明によると、劉副首相は9、10両日にライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、およびムニューシン米財務長官と会談する。同時に中国はトランプ大統領が警告を実行に移した場合に備えて報復関税を準備していると、事情に詳しい関係者が述べた。
最新の展開で、長引く米中貿易戦争は9日に正念場を迎えることになった。両国の企業や市場、消費者、政治家に与える影響は計り知れない。米国に最後通告を突き付けられた劉副首相が、関税引き上げを阻止するのに十分な譲歩を示すのか、あるいは中国も強硬姿勢で報復に出るのかが焦点になる。
中国製品2000億ドル(約22兆1300億円)相当に対する米関税率が10%から25%に引き上げられれば、その1分後に中国は報復関税を発動すると、関係者が匿名を条件に述べた。中国国務院と商務省に関税計画についてコメントを求めたが応答はない。
米中協議の行方に疑問符が付いたのは5日、トランプ大統領がツイッターで突然、関税引き上げ計画を示してからだ。大統領は交渉の進展が遅過ぎると不満を示し、関税を引き上げると警告。また、現在は対象外となっている3250億ドル相当にも関税を適用する可能性を示唆した。
トランプ政権はワシントン時間10日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に関税を引き上げる計画だと、ライトハイザー代表が6日発表。同代表は中国側が従来の姿勢を後退させたとして、「受け入れられない」と述べた。
中国紙の環球時報は7日の社説で、中国は「協議の一時的な中断を含めて」、米国との貿易協議の「他に想定される結果に十分に備えている」と論じた。たとえ米国が関税を引き上げたとしても、交渉の扉は閉ざされないとも論述した。
中国側の姿勢後退が明白になったのは先週の北京訪問中だったと、ライトハイザー代表とムニューシン長官は6日に記者団に述べた。米国の立場について知る関係者2人によると、中国が撤回した法改正の約束は、どの米政権も成し遂げられなかった譲歩を中国から引き出したとして、米側が国内向けにアピールするつもりだった。
原題:Top China Trade Negotiator to Visit U.S. as Tariffs Threat Looms(抜粋)