[ワシントン 8日 ロイター] – 米政府は8日、2000億ドル相当の中国製品に対する関税を10日午前0時1分(日本時間午後1時1分)に現在の10%から25%に引き上げると官報で発表した。 

トランプ大統領は、関税を維持することに異存はないとした上で、民主党政権が誕生するまで交渉を引き延ばせると考えるのは間違いだとして、中国側の動きをけん制した。 

中国商務省は、米国の対応は非常に遺憾と表明。米国が関税を引き上げるなら対抗措置を取ると警告した。貿易摩擦の激化は双方にとって利益にならないとも指摘した。 

米通商代表部(USTR)は関税引き上げに伴い、特定の製品に対する除外措置の適用申請を受け付ける。 

トランプ大統領はツイッターへの投稿で「中国が貿易交渉で後ろ向きとなり再交渉しようとする理由は、ジョー・バイデン氏など非常に弱腰な民主党員らと今後交渉できるという切実な願いがあるからだ」と主張。 

「だが、そのようなことにはならない!中国から劉鶴副首相らが通商合意に向け訪米すると連絡があった。だが、米国の国庫を潤す年間1000億ドル超の関税(収入を得ること)に異存はない」と述べた。 

大統領は5日、2000億ドル相当の中国製品に対する関税を10日から現在の10%から25%に引き上げる方針を表明していた。 

複数の関係筋によると、中国政府は米中貿易交渉の合意文書案の全7章に修正を加え、今月3日までに米国側に提示。合意文書案は150ページ近くに及ぶが、中国政府が加えた修正はこれまでの交渉を白紙に戻すような内容だったという。さらに中国は知的財産・企業秘密の保護、技術の強制移転、競争政策、金融サービス市場へのアクセス、為替操作の各分野で問題解決に向け法律改正を行うとの約束もほごにしたとみられる。 

劉鶴副首相は通商協議のため9ー10日に訪米する。 

戦略国際問題研究所(CSIS)のスコット・ケネディー氏は、両国の交渉が微妙な局面にあり、すべては劉鶴副首相の提案にかかっていると指摘。トランプ政権は本気で関税を引き上げる意向で、劉鶴氏が訪米を決意したからには、相応の提案を用意してくると思われると述べた。