イタリアのサルビーニ副首相=5日、ローマ(EPA時事)

 【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)各国で23~26日に実施される欧州議会(現定数751)選挙まで約2週間。世論調査では中道右派、左派の二大会派が初めて合計での過半数を失う見通しの一方、EU懐疑派は計3分の1を超える勢いで、EUの先行き不透明感が強まっている。

 「問題はわれわれがお互いに愛し合っていないことだ」。ユンケル欧州委員長はドイツ紙に対し、反EU的なポピュリズム(大衆迎合主義)台頭への危機感をあらわにし、欧州各国の相互理解を深める必要性を主張した。

 4月下旬のスペイン総選挙では、新興極右政党ボックスが24議席を得て国政に初進出した。反移民・難民などを背景にした欧州でのEU懐疑派の隆盛を改めて印象付けた格好で、イタリアの極右政党「同盟」を率いるサルビーニ副首相は「ボックスが欧州での仲間となることを望む」と勢力結集を呼び掛けた。

 複数の世論調査を集約・分析するウェブサイト「ポール・オブ・ポールズ」の予想(6日時点)によると、欧州議会二大会派の中道右派「欧州人民党(EPP)」は171議席(現217)、中道左派「欧州社会・進歩連盟(S&D)」は148(同186)と劣勢の一方、同盟やフランスの「国民連合」などの極右グループは69(同37)と躍進する情勢だ。

 最長10月末へのEU離脱延期に伴い、当初は参加しないはずだった英国が加わる公算であることも波乱要因だ。英国では新党「ブレグジット(英EU離脱)党」が支持率トップに立つ。欧州議会ではこうしたEU懐疑派が計255議席に上ると予想されている。

 勢力分散は、選挙結果を踏まえて進められる次期欧州委員長選びにも影響を与える。各会派はそれぞれ候補を擁立。現時点ではEPPのウェーバー氏(ドイツ)が最有力だが、閣僚経験や知名度のなさが不安視されており、連立協議や各国首脳の意向次第では第1会派となっても選ばれない事態もあり得る。