[ニューヨーク 15日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、トランプ米大統領が自動車と自動車部品に対する追加関税導入を巡る決定を最大6カ月先送りする可能性があると伝わったことを受け、ユーロが対ドルで下げ幅を縮小した。
商務省は2月、通商拡大法232条に基づく自動車関税についての報告書をトランプ大統領に提出したが、報告書が勧告する措置について今月18日までに最終決定することになっている。これについて高官3人はロイターに対し、貿易を巡る新たな対立を回避するため、導入の判断が最大6カ月先送りされる見通しであることを明らかにした。
スコシアバンク(トロント)の首席外為ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は「欧州から輸入される自動車に対する関税の導入が先延ばしにされると予想される」と述べた。
この日はイタリアのサルビーニ副首相が、欧州連合(EU)の財政規律は「欧州を飢餓状態に陥れている」とし、改正する必要があるとの考えを表明。前日に続きEU財政規律を批判した。これを受けユーロは下落していた。
ウエルズ・ファーゴ(ニューヨーク)の外為ストラテジスト、エリック・ネルソン氏は「欧州議会選挙を来週に控え、EUに対する批判が今後も続く可能性がある」との見方を示している。
ドイツ連邦統計庁が発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)速報値は前期比0.4%増となり、3四半期ぶりにプラス成長を回復。ただサルビーニ氏の発言で市場へのプラス効果は相殺された。
中国国家統計局が発表した4月の鉱工業生産は前年同月比5.4%増と、前月から伸びが鈍化し、市場予想を下回った。このほか、4月の小売売上高は前年比7.2%増と伸び率は3月の8.7%から大幅に縮小し、2003年5月以来の低水準となった。
ウエルズ・ファーゴのネルソン氏は「今回の中国の統計は米中が相互に関税措置を発表する前のものだったため、若干の懸念材料となる」と指摘。中国の経済成長に対する懸念が台頭したことで、安全通貨と見なされる円やドルなどに買いが入った。
この日発表の米経済指標では、4月の小売売上高が前月比0.2%減と、市場予想の0.2%増に反して落ち込んだほか、4月の鉱工業生産指数は製造業部門が0.5%低下し、市場予想の0.1%上昇に反して落ち込んだ。
ドル/円
NY終値 109.58/109.61
始値 109.35
高値 109.68
安値 109.16
ユーロ/ドル
NY終値 1.1200/1.1204
始値 1.1194
高値 1.1224
安値 1.1178