[香港 17日 ロイター] – 中国人民銀行(中央銀行)は17日、第1・四半期の金融政策実施報告書を公表し、米国との貿易戦争に起因する中国経済の減速に対応する措置の一環として、中小企業を中心に資金調達コストの低減を支援する方針を示した。
人民銀はまた、穏健な金融政策を維持し、いかなるシステミックな金融リスクも回避する方針も示した。
人民銀は、経済と物価を巡る情勢の変化に合わせ政策を微調整し、政策伝達のメカニズムを改善していくと表明。「中小企業を中心に、実体経済の資金調達コストを一段と引き下げると同時に、金融機関が実体経済に貢献する能力、および意欲を押し上げていく」とした。
人民銀は今月6日、中小銀行を対象に預金準備率を引き下げると発表。2800億元規模の長期資金を放出することで、中小企業向け融資を促進する。この対象を絞った引下げを含め、人民銀は2018年初旬以降、預金準備率を6回引き下げており、今後も一段の緩和措置が予想されている。
人民銀によると、企業向け融資と住宅ローンの金利の加重平均は第1・四半期は5.69%と、5ベーシスポイント(bp)上昇した。昨年第4・四半期は28bp低下。人民銀はこれまでは非金融企業に対する融資の金利の加重平均を公表していた。
経済全般については、なお下向き圧力にさらされているとの認識を表明。ただ国内外の不確実性に対応するために人民銀は十分な政策措置を持ち合わせているとの立場を示した。
このほか、金利、外国為替の改革を継続すると表明。人民元相場CNY=CFXSを基本的に安定的に保つ姿勢も改めて示した。
中国の経済成長率は18年は6.6%。世界的に見れば高水準にあるが、中国としては過去28年で最低となった。政府が3月に発表した景気支援策の効果が表れるまで、経済成長は今年は一段と減速すると予想されている。