[東京 20日 ロイター] – 内閣府が20日発表した2019年1─3月期国内総生産(GDP)は、季節調整済み前期比プラス0.5%、年率プラス2.1%となった。中国経済を中心に海外経済減速が輸出を下押し、内需も個人消費や設備投資が落ち込んだ。プラス成長となったのは、内需減少に伴う輸入の大幅減や公共投資が要因。米中摩擦再燃で民需の回復が見えにくくなっており、プラス成長とはいえ、その内容は決して良くない。
海外経済が減速する中で、下支えするはずの内需の2本柱はいずれも悪化に転じた。個人消費が前期比マイナス0.1%。昨年末からの株価下落により消費マインドが悪化したことや、食品や生活必需品の値上げが背景とみられる。
設備投資は同マイナス0.3%の落ち込みとなった。前期の高い伸びの反動に加えて、中国経済減速などで投資マインドが慎重になったもようだ。
輸出は、中国経済減速の影響が表れ、前期比マイナス2.4%と減少に転じた。中国などアジア向け輸出が停滞する中、国内の生産もそれにつれて落ち込んだ。輸入は同マイナス4.6%と大きく減少。生産が減少傾向となったことに伴い、輸入原材料が減少。輸出を上回る減少幅となったことから、外需寄与度はプラスとなった。
このほか、公共投資(公的資本形成)が前期比プラス1.5%と大幅な増加に転じ、全体の押上げに寄与した。
デフレーターは前年同期比プラス0.2%とプラスに転じた。前期比はプラス0.3%。
18年度を通してみれば自然災害の影響で変動を繰り返しつつ、辛うじて0.6%のプラス成長となった。ただ年度末の1─3月期は天候は比較的安定していた中で、内需の柱である個人消費が精彩を欠き、設備投資や輸出といった民需は海外経済に翻弄される構図が続いてる。米中摩擦が再燃しており、内容を伴ったプラス成長への回復時期は見えにくくなっている。
茂木敏充経済財政相はGDP発表後の会見で「内需の増加傾向は崩れていない」と評価。今年10月に消費税率を引き上げる予定だと語った。