[ワシントン 19日 ロイター] – 上院民主党のシューマー院内総務はニューヨーク市が中国国有の中国中車(CRRC)が設計した新たな地下鉄車両を調達する可能性について、国家安全保障への脅威となるかどうかを調査するよう米政府に要請した。 

世界最大の旅客鉄道車両メーカーであるCRRCについては16日の議会公聴会で、米国内のプロジェクトへの参加を安全保障上の懸念から制限するための審議が行われ、議員からは同社について懸念の声が噴出していた。 

一方、トランプ政権は、安全保障上のリスクを理由に、米政府の許可なく米企業から部品などを購入することを禁止する「エンティティーリスト」に中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を追加している。 

CRRCはニューヨーク市の新地下鉄車両の設計コンペで勝利している。シューマー氏はロイターへの声明で、CRRCは新技術を同市の地下鉄に導入する計画で、これが都市交通局(MTA)やMTAの交通機関を利用する通勤客に対する脅威になるかどうかについて政府は判断すべきだと主張した。 

「サイバー戦争に関する知識や全米の交通やインフラの拠点に対する最近の攻撃」を踏まえて、商務省は信号やWi─Fi(ワイファイ)も含めたニューヨーク地下鉄に関するCRRCの提案や作業について徹底的に調査すべきだ」とした。 

CRRCはまだ同市で契約を獲得したわけではないが、ロサンゼルス、シカゴ、ボストン、フィラデルフィアといった米有力都市の地下鉄車両の納入を次々と勝ち取っている。 

現在は首都ワシントンの地下鉄事業で総額5億ドル超の車両の納入を目指している。 

CRRCが米国で旅客車両よりも収益性が大幅に高い貨物車両の市場に早期に照準を合わせるとの憶測や、旅客に対するスパイ活動のために車両を使う可能性があるとの懸念から、米議会では法案策定の動きが相次いでいる。