中国の習近平国家主席がレアアース(希土類)関連の国内施設を視察したことで、同国が米国との貿易交渉でレアアースを取引材料にするとの見方が広がっている。
中国の国営新華社通信は、習主席が江西省にある江西金力永磁科技を訪問したと報道。これを受けて同社の株価は20日に急伸し、値幅制限の上限に達した。国営メディアは政府首脳部のスケジュールを随時発表しており、政府助成を受けたとの見方で訪問先企業の株価が上昇することがある。
こうした視察はまた、政策の優先度合いを示唆している可能性もある。レアアースはこれまで、一段と緊張が高まる米中貿易交渉で取り上げられている。中国は米国からの輸入品に対する関税率を10%から25%に引き上げる措置を発表した一方で、米国は次の一手として3000億ドル(約33兆円)相当の対中追加関税を準備。この対象リストからレアアースは除外された。
米国はレアアース需要の約80%を、中国からの輸入に頼っている。習主席の視察には、米国との貿易交渉を率いてきた劉鶴副首相が同行した。
太平洋証券のアナリスト、ヤン・クンヘ氏は、今回の視察は「貿易戦争が激化する中で、中国がレアアースを報復手段に使用する可能性があるという警告を米国に発するものだ」と北京から電話でコメントした。
原題:Xi’s Trip to Rare Earths Plant Stokes Talk of Trade Retaliation(抜粋)