[ワシントン/北京 22日 ロイター] – ムニューシン米財務長官は22日、トランプ政権が計画している3000億ドル相当の中国製品に対する追加関税措置について、消費者への影響を検証しており、発動は約1カ月先になる見通しを示した。 

ムニューシン長官は議会下院の公聴会で、追加関税を巡る「いかなる決定も30─45日先になる」と表明した。 

トランプ大統領は6月28─29日に日本で開催される20カ国・地域(G20)で習近平・中国国家主席と会談する見通しとなっており、約30日の猶予はこの会談までに追加関税発動の用意を整えることを示唆している。 

ムニューシン長官は「米中が交渉の席に戻ることは可能だとなお期待している。両首脳は6月末に顔を合わせる公算が大きい」と述べた。 

米通商政策の決定に際しては、関税措置の消費者への影響に配慮するとし、米小売大手ウォルマートの最高財務責任者(CFO)と関税措置が消費者物価に及ぼす影響について電話で話し合ったことを明らかにした。 

長官はまた、これまでの米中通商協議を基盤に今後の交渉を進めることが可能であれば、トランプ政権は協議再開に前向きとの認識を示した。 

中国の崔天凱・駐米大使はこの日、中国政府は米国との協議を続ける用意があるとしつつも、不公平な合意は受け入れないとの認識を示した。 

米中通商協議の開催は今月10日が最後で、次回会合の日程は決まっていない。 

中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)を巡る対立も、両国の確執が深まる要因となっている。米政府は先週、ファーウェイについて、政府の許可なく米国の重要な技術を購入することを禁止するとともに、国家安全保障を理由に米国の通信ネットワークから同社の製品を事実上排除する措置を発表した。 

この措置を踏まえ、ソフトバンクとKDDI(au)は、5月下旬に予定していたファーウェイ製スマートフォンの発売延期を発表しており、米政府によるファーウェイ排除の動きが世界的な影響を引き起こす恐れがある。 

また、21日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、トランプ政権が中国監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)への禁輸措置を検討していると報じた。 

こうした中、 在中国の米国商工会議所(ACCC)が公表した調査からは、米企業が中国で非関税障壁による報復に直面していることが浮き彫りとなっている。 

ムニューシン長官は「関税を導入することが目的ではない。中国が米企業を公正に扱うことを求めている」と言明した。 

米中貿易摩擦が激化の様相を呈する中、世界の株式市場は軒並み下落。安全資産とされる米債や円、スイスフランなどの買いが膨らんだ。