[7日 ロイター] – 労働省が7日に発表した5月の雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びが大幅に鈍化したほか、賃金上昇率も予想を下回った。経済活動のモメンタム低下が労働市場に広がっていることが示され、米連邦準備理事会(FRB)による年内利下げ観測が高まる可能性がある。
非農業部門の雇用者数は7万5000人増加。ロイターがまとめたエコノミスト予想は18万5000人増だった。時間当たり平均賃金は前月比0.2%増。予想は0.3%増だった。
市場関係者のコメントは以下の通り。
<RBCキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の首席米国エコノミスト、トム・ポーチェリ氏> 今回の雇用統計は、米連邦準備理事会(FRB)が近く利下げを実施するとの観測を高めるものではあった。ただわれわれは極めて時期尚早だと考えている。
非農業部門の雇用者数は前月は22万5000人増加している。今回の「不本意」な結果はこれに続くものだ。ノイズの多いデータのノイズに惑わされてはならない。より大きな視点で見る必要がある。過去2カ月間の伸びの平均は15万人で、われわれは景気サイクルの現在の時点ではこの水準が適切であると考えている。
<レイモンド・ジェームズの市場ストラテジスト、エリス・ファイファー氏> 前日発表されたADP全米民間雇用統計が予想外の結果に終わったことを受け、非農業部門雇用者数が低い伸びになると予想されていたが、それ以上に低調な内容となった。
こうした指標や貿易問題を巡る不透明性から、米連邦準備理事会(FRB)への緩和圧力は高まる。市場では7月の利下げが見込まれていたが、6月に実施される可能性も出てきた。貿易摩擦を巡る不透明性を除外すれば、経済は底堅く推移しており、早期の利下げが必要となる状況ではないだろう。しかし全般的な不透明性を踏まえ、FRBが予想よりも早期に動く公算が大きく、6月に利下げが実施される可能性がある。
<BMOキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の外為戦略部門グローバル責任者、グレッグ・アンダーソン氏> 軟調な結果となった。今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが検討されるに十分なほど軟調だった。
これまでは、統計の最も注目を集める部分が堅調でも中身を見ると軟調、またはその逆だったことが多かったが、今回の雇用統計はすべてが軟調だった。