- スプリント買収阻止へ州政府が提訴、低いコアPPIで利下げ期待
- レバレッジ融資のリスク放置、トランプ氏強気、習主席追い詰める
米国の第16代大統領を記念したリンカーン記念堂。この建物の前で先月、ジョギングの途中で仲良くカメラに向けてピースサインをして見せたのはTモバイルUSのジョン・レジャー最高経営責任者(CEO)とスプリントのマルセロ・クラウレ会長でした。ツイッターに投稿された写真では笑顔の両氏ですが、そこから15分のジョギングで到着できる米司法省では近く、両氏の今後を大きく左右する決定が出されます。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
大型合併のハードル
TモバイルUSによるスプリントの買収は競争を阻害し、価格上昇で消費者に年間45億ドル(約4900億円)以上の負担を増やすとして、ニューヨーク州をはじめ9州とコロンビア特別区が連邦裁判所に提訴した。スプリントの株価は一時7%を超える値下がり。TモバイルUS株も下落した。スプリント経営陣は5月、買収が阻止されれば「深刻な問題」に直面すると述べている。合併頓挫の場合、スプリントに190億ドル(約2兆700億円)相当を出資しているソフトバンクの負担は大きい。
利下げ期待に拍車
米国の基調的な生産者物価指数は、前年同月比で2018年1月以来の低い伸びとなった。米金融当局に対する利下げ要求が強まる可能性がある。5月の食品とエネルギーを除くコア生産者物価指数(PPI)は前年同月比2.3%上昇。4月は2.4%上昇だった。トランプ大統領は統計発表前に、米政策金利は高すぎるとツイートし、「米国のインフレはとても低い。美しいものだ」と述べた。
パウエル議長も警戒
レバレッジ融資市場に潜むリスクについて、欧米の規制当局が発する警告は日に日に強くなっている。重い債務を抱える企業や、ローン担保証券 (CLO)の基準劣化を指摘しながら、これらの当局の多くが2008年の危機が再来する可能性は低いと言明するのに慎重なのは、こうした債権を保有するのが主に管轄銀行ではなく、国外の機関だからだ。米利下げ期待が高まる中、米金融当局は抑制しようとする高リスク貸し出しをむしろ助長しかねない状況に、米当局の担当者はコメントを控えた。
難航ではない
トランプ米大統領は、中国との通商交渉の合意を自分が意図的に遅らせていると述べ、中国が今年すでに交渉した条件に立ち戻らない限り、完全な形での合意はあり得ないと言明した。「合意を先延ばししているのは、実は私だ」とトランプ氏は記者団に述べた。「中国とは素晴らしい合意をまとめるか、まったく合意なしで終わるかのどちらかだ」と続けた。
反撃か白旗か
トランプ氏が先日中国に発した最後通告は、習近平国家主席の政治生命に大きな影響を及ぼす。トランプ氏は首脳会談に習氏が応じない場合、輸入品約3000億ドル(約32兆5600億円)相当に「25%よりはるかに高い」関税を賦課する可能性があると発言。中国外務省は、会談の有無についてコメントを控えた。北京大学の張健准教授は「会談しようがしまいが、可能性のあるシナリオのうち習主席と長期的な中国経済にとって好ましいものは何一つない」と述べた。
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