13日、ホルムズ海峡付近で攻撃を受けて火災を起こし、オマーン湾で煙を上げるタンカー(AP)
13日、ホルムズ海峡付近で攻撃を受けて火災を起こし、オマーン湾で煙を上げるタンカー(AP)

 海上石油輸送の大動脈であるホルムズ海峡近くで13日、日本関連の物資を積んだタンカー2隻が攻撃を受けた事件は、中東地域の緊張や駆け引きに、日本もいや応なく巻き込まれ得ることを改めて示した。事件は今後、イランと同国を敵視する国々とによる非難の応酬や情報戦に発展することも予想される。

 一方への過度な肩入れは避けたい日本政府は、慎重な対応が迫られる。

 この海域では5月にもタンカー4隻が相次いで攻撃を受けている。被害当事国のアラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビア、ノルウェーが今月、国連安全保障理事会に、「国家による高度に洗練された作戦」だったなどとする予備的な調査結果を提示した。

 また、米国の対イラン強硬派やサウジ、UAEの高官らは半ば公然と「イラン関与説」を主張し、緊張状態に拍車をかけていた。

 13日の事件でも、証拠が示されるか否かにかかわらず、同様の反応が起きる可能性が高い。

 日本はエネルギーの安定確保のため、サウジ、イランなどすべてのペルシャ湾岸諸国と良好な関係を維持。中立を保ち、対立に巻き込まれないよう注意深く振る舞ってきた。

 今後もこの基本路線に変更はないとみられるが、今回の事件を含む挑発行為の頻発や緊張状態の長期化は、日本に対し、トランプ米政権による対イラン制裁への同調圧力として作用すると考えられる。(前中東支局長 大内清)