トルコにあるサウジアラビア総領事館で去年、ジャーナリストが殺害された事件で、国連の調査チームはサウジアラビアのムハンマド皇太子の責任をうかがわせる確かな証拠があるとする調査結果を公表し、各国に対し皇太子らの海外資産を凍結するなど制裁措置を科すよう求めました。
トルコにあるサウジアラビア総領事館で去年、サウジアラビア人のジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏が殺害された事件では、国連のカラマール特別報告者が率いるチームがことし1月から調査を始め、19日、調査結果を公表しました。
サウジアラビアの検察当局はこれまで、ムハンマド皇太子の事件への関与を否定していますが、今回の調査結果ではムハンマド皇太子を含む政府高官が事件に関与している確かな証拠があるとしています。
そのうえで、カショギ氏の殺害をめぐって皇太子が関与していないという証拠が裏付けられるまで、各国に対し皇太子らの海外資産を凍結するなど制裁措置を科すよう求めました。
またサウジアラビアの検察当局が事件に関与したとして起訴した11人については、裁判が密室で行われてきたとして裁判の手続きを停止するよう求めています。
カラマール特別報告者は声明で「殺害は政府高官たちによって監督され、計画され、支持されたものだ。これは国家による犯罪だ」と述べ、国連主導でさらなる調査を行うよう求めました。
調査結果は26日に国連人権理事会に正式に報告され、各国が議論することになっています。
サウジ外務担当相「信頼性に疑問」
サウジアラビアのジュベイル外務担当相は19日、国連の調査結果について「何も新しいことがない。この調査結果には明確な矛盾と根拠のない主張が含まれており、信頼性に疑問がある」とツイートし、強く反発しました。
どの部分が矛盾しているのか明確に指摘していませんが、「この事件についてはサウジアラビアのみが司法権を有する」として、国連の調査に左右されず裁判などを継続していく姿勢を強調しました。