[ワシントン/リヤド 24日 ロイター] – トランプ米大統領は24日、イランに対する追加制裁を科す大統領令に署名した。同国の最高指導者ハメネイ師のほかイラン精鋭部隊「イスラム革命防衛隊(IRGC)」の幹部を制裁対象とした。 

新たな制裁措置はイラン指導部の金融資産へのアクセスを禁止するもの。米国の金融システムの利用のほか、米国内の資産へのアクセスが禁止される。ムニューシン財務長官はこれにより数億ドルのイラン資産が凍結されるとしている。 

トランプ大統領は大統領令と合わせて発表した声明で「イランに対し核計画を放棄し、破壊的な行動を改め、国民の権利を尊重し、誠意をもって交渉の場に戻ることを呼び掛ける」とした。 

トランプ大統領は記者団に対し、先週起きたイランによる米無人偵察機撃墜を受けた措置と説明したが、その後、偵察機撃墜が発生しなくても、追加制裁を実施していたと語った。 

その上で、今回の制裁は「イランの挑発的な行動に対する力強くかつ相応の措置」と指摘。「イランが危険な行動や野望を放棄するまで、米国は圧力を掛け続ける」と述べた。 

米政府はホルムズ海峡で今月発生したタンカー攻撃についてもイランが関与したと非難。トランプ氏は「イランによる敵対的な行動」の最終的な責任はハメネイ師にあると指摘。「大統領令の下で導入される制裁措置は、ハメネイ師のほか、ハメネイ師に関連する人物による金融資源と支援へのアクセスを禁止するものだ」と述べた。ホワイトハウスは「制裁対象にされた人物と取引を行なう者も制裁対象とされる可能性がある」としている。 

財務省によると、イスラム革命防衛隊の幹部8人も制裁措置の対象に指定した。ムニューシン長官は、イランのザリフ外相も週内に制裁対象に指定されるとしている。 

イラン政権に近いタスニム通信とファルス通信は、米国の制裁措置は「捏造された口実」に基づいていると報道。米国の新たな制裁措置について、ロイターはイラン当局者からコメントは得られていない。 

この日は米国、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、英国が共同声明を発表し、中東における緊張の高まりのほか、イエメンを含むこの地域の平和と安全を脅かすイラン「不安定化に向けた活動」に懸念を示している。