• トランプ氏が北朝鮮側に足を踏み入れる-現職の米大統領で初めて
  • 寧辺の核施設廃棄なら制裁緩和の協議可能に-韓国の文在寅大統領

トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は30日、南北の非武装地帯(DMZ)にある板門店で3回目となる米朝首脳会談を行い、非核化協議を再開することで合意した。トランプ氏は短い時間、現職の米大統領として初めて北朝鮮側に足を踏み入れた。

  トランプ氏は自身と金委員長の関係をたたえるとともに、同委員長をホワイトハウスに招待すると述べた。具体的な時期には言及しなかった。今回の会談はトランプ氏が29日にツイッターを通じて提案したことで実現。金委員長はトランプ氏の要請に「驚いた」と述べ、大統領が北朝鮮側に歩いて入ったことは「非常に勇気のある断固とした行動だ」と評価した。

  トランプ氏は金委員長と約1時間会談した後に記者団に対し、両国のチームが向こう数週間で会合を行うと説明。「それからどうなるか見てみよう」と語った。北朝鮮への制裁を巡っては、当面そのまま続けるものの、協議の過程で一部解除する可能性を示唆した。韓国の文在寅大統領も会談の少なくとも一部に参加した。文氏はトランプ氏の「大胆で思い切った創造的なアプローチ」を称賛した。

  トランプ氏は北朝鮮との協議について、「われわれはスピードを追求していない。正しく行うことを望んでいる」と述べ、軍事境界線を越えて金正恩氏と時間を過ごしたことは「非常に光栄だ」とした。

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北朝鮮の金正恩委員長とトランプ米大統領(6月30日、軍事境界線の南側で)

  両氏はこれまでにシンガポールとハノイで首脳会談を行ったが、米国の大統領がDMZで北朝鮮の指導者に会うのは初めて。

  ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談では、金委員長が寧辺(ニョンビョン)にある主要な核施設のみを廃棄することと引き換えに制裁緩和を要求し、トランプ氏が拒否したことで物別れに終わった。ただ、両首脳はその後も友好的な関係を維持していた。

  文大統領は30日、トランプ大統領との米韓首脳会談後の記者会見で、寧辺核施設が「誠実かつ完全に」廃棄されれば、「不可逆的な非核化の入り口」となり、国際社会が制裁緩和の協議を始められると語った。

原題:Trump Makes History With Kim, Reviving Stalled Nuclear TalksTrump Makes History With Kim Jong Un, Reviving Nuclear Talks(抜粋)