【ソウル=桜井紀雄】韓国大統領府の国家安全保障会議(NSC)は12日、軍事転用できる戦略物資が韓国から北朝鮮に流出した疑いが日本国内で持ち上がっていることについて「不必要な論争を中断する」ため、国連安全保障理事会の専門家パネルや適切な国際機関に日韓両国の輸出統制体制の違反事例に関する「公正な調査」を依頼するよう提案すると発表した。
調査の結果、韓国側の過ちが見つかれば、韓国政府が謝罪して即、是正措置を取るとする一方、過ちがないとの結論が出れば「日本政府が韓国に謝罪」し、韓国向け輸出管理の厳格化措置を撤回すべきだと主張した。輸出管理をめぐる議論が対北制裁の履行に絡む日韓の軋轢(あつれき)に拡大した形だ。
金有根(キム・ユグン)NSC事務処長が記者会見で「韓国政府の制裁不履行を示唆する日本の高官らの無責任な発言に遺憾の意を表明する」と述べ、韓国は国連安保理の対北制裁決議を「徹底して順守してきた」と強調した。日本側の違反事例についても「徹底した調査が実施されるべきだ」と主張した。
李洛淵(イ・ナギョン)首相も12日、国会で対北制裁の忠実な履行を強調し、戦略物資の流出が「疑われるなら相互検証をし、信頼を回復することが急がれる」と述べた。「むしろ日本が原料を北に輸出したという証拠資料が出た」とも指摘した。野党議員が11日に日本側の資料を基に日本で1996年から2013年にかけて30件を超える対北不正輸出が摘発されたと発表していた。