【香港時事】香港で身柄を拘束した容疑者の中国本土への移送を可能にする逃亡犯条例改正の反対派は14日、改正案の「完全撤回」を求め、ベッドタウンの新界地区・沙田でデモを行った。地域団体や区議会議員が呼び掛け、主催者発表で11万5000人が参加。報道によると、デモ隊の一部が、催涙スプレーを使う警官隊と衝突した。
反対派はこれまで香港島の政府本部周辺などでデモを実施してきたが、今回はあえて中心部から離れた地域で行った。ネット上では週末のたびにデモが呼び掛けられている。香港各地で継続的に抗議活動を行い、住民の問題意識を喚起し続ける狙いがある。
6月下旬ごろからデモ後の警察との衝突や暴力行為が常態化してきた。混乱が香港の広い範囲に拡大する事態が懸念されている。
香港政府トップの林鄭月娥行政長官は9日、改正案について「既に死んだ」と、これまでより強い言葉で審議再開の予定がないことを表明したが、反対派は納得していない。14日のデモに参加した男子大学生(23)は「『死んだ』と言われても、撤回されてない以上、生き返る可能性は残っている。政府は言い方を変えただけで、状況は変わっていない」と抗議を続ける意思を示した。
14日はまた、香港記者協会など報道関係者が香港島中心部でデモを実施。反対派鎮圧に警察が催涙弾などで実力行使したことで取材活動が脅かされたとして、記者たちが「沈黙の行進」をした。主催者発表で1500人が参加した。