[ロンドン 19日 ロイター] – 英議会の情報安全保障委員会(ISC)は19日、国内の第5世代(5G)通信網に中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の製品を採用するかどうか、新首相が早急に決定する必要があると表明した。
ファーウェイを巡っては、同国の国家安全保障会議(NSC)が4月、5G通信網のすべての中核部分から同社を締め出すとともに、非中核部分については限定的な参入を認める方針を決定したが、最終決定はメイ首相の退任表明に伴い遅れている。
複数の関係筋はロイターに対し、政府は来週29日にも報告書を公表する可能性があるが、5G通信網の機器に関する部分については次期政権が決定するため、空白のまま公表されるとの見方を示した。政府報道官はこれについて報告書はいずれ公表されるとし、すべての業者はこれを順守する必要があると述べるにとどめた。
英国では来週、ハント外相かジョンソン前外相のいずれかが首相に就任する見通し。ジョンソン氏が有力候補とみられている。
ISCのグリーブ委員長は「新しい首相が優先課題として決定すべきだ」と表明。ISCの声明によると、調達先を多様化することで、攻撃や人為的なミスに耐えられるシステムを構築できるが、現在5Gの入札にはファーウェイ、ノキア、エリクソンの3社しか応札しておらず、一部の企業に過度に依存し、競争が減れば、セキュリティーの基準が低下するとみられる。
ただ米政府は、ファーウェイ製品が中国政府のスパイ活動に利用される恐れがあるとして、同社製品の排除を同盟国に要求。中国政府はファーウェイを排除すれば投資と貿易に悪影響が出ると警告している。
ISCは、決定に際しては技術面だけでなく、政治的な問題も考慮する必要があると指摘。米・英・オーストラリア・カナダ・ニュージーランドの機密情報共有網「ファイブ・アイズ」に悪影響が出てはならないと主張した。
ISCによると、中国政府は国家の基幹インフラ構築で英国企業の参加を認めないとみられ、英国がファーウェイを排除しても中国政府の理解は得られる見通し。
ISCは「こうした重大な決定には慎重な配慮が必要だ」とし「決定の遅れは英国の国際協力にもダメージを与えつつある。早急な決定が必要だ」と表明した。