【ワシントン時事】トランプ米大統領の支持者集会で、聴衆が非白人の民主党女性議員を「(国に)送り返せ」と連呼した。トランプ氏の差別的な発言を受け入れる層がいることを見せつけた形で、大統領選を来年に控えた米国で今後も尾を引きそうだ。
支持者の連呼は、17日の集会で起きた。トランプ氏が、ソマリア生まれのイルハン・オマル下院議員に対する非難を始めると、聴衆の一部が「センド・ハー・バック(彼女を送り返せ)」と叫んだ。次第に会場全体にこだまし、トランプ氏は耳をすますように演説を約10秒間止めた。
連呼に対しては、与党共和党の一部からも「米国人が他の米国人に対して使う言葉ではない」(ウォーカー下院議員)と不快感が示されている。ただ、人種的少数派の発言力が増すことに危機感を覚え、トランプ氏の主張に留飲を下げる米国人も少なくないようだ。USAトゥデー紙が17日に伝えた世論調査によると、トランプ氏が非白人議員に向けて「国に帰ったらどうか」と書き込んだ14日のツイートについて、共和党支持者の57%が「同意する」と答えた。
少数派に対する世論の分断は、来年の大統領選に影響しそうだ。民主党の支持率トップを走るバイデン前副大統領は18日、記者団に「国家を分断し、人種差別主義を提起するのが彼(トランプ氏)のゲームだ」と述べ、トランプ氏が支持固めに向け人種問題の争点化を狙ってくると警戒している。