【ワシントン時事】トランプ米大統領が悪化の一途をたどる日韓関係の改善へ協力する意向を示したのは、両国の足並みの乱れが北朝鮮などをめぐる日米韓3カ国の協力にも支障を来しかねないという危機感が募っているためだ。ただ、両国と同盟関係にあり、中立を維持しなければならない米国が、貿易や歴史問題に関する対立を仲介するには限界があるとの見方も根強い。
「彼らが必要とするならば協力する」。トランプ氏は19日、記者団から日韓の関係悪化について問われると、待っていたかのように最後まで聞かずに話し始めた。
関係者によると、当初、米政府は日韓関係に立ち入ることには否定的で、元徴用工をめぐる対立も「日韓ではよくあること」と静観の構えだった。だが、今月1日に日本が半導体材料の輸出規制強化を発表し、韓国がその対応を非難すると、米国内に「事態は深刻」という認識が広がった。
トランプ氏は「貿易問題」で文氏から協力依頼を受けたと説明した。ただ、仲介役を果たせるかどうか懐疑的に見る向きが多い。カーネギー国際平和財団のジェームズ・ショフ上席研究員は、「文氏は韓国の側に立った仲介を求めたのだろうが、それはトランプ氏が果たすべき役割でも、可能な役割でもない」と指摘する。
ショフ氏は米政府の目標について、これ以上関係が悪化しないよう日韓の対話の「世話役」となることと、それが不可能でも安全保障をめぐる3カ国協力に波及させないことだと分析する。トランプ氏自身、「双方が必要なら」と前提条件を付けており、中立的な立場は崩さないものとみられる。