【ワシントン時事】トランプ米政権は19日、中東ホルムズ海峡などでの船舶護衛を目指す有志連合構想への協力を日本を含む各国に要請し、サウジアラビアへの米軍駐留再開も発表した。これに対しイランは同日、同海峡で英国の石油タンカーを拿捕(だほ)。最も狭いところで幅30キロ超しかない要路の緊張は高まる一方だ。
トランプ大統領はこれまで、「イランとの戦争を望まない」と公言し、対話に応じるようイランに水を向けてきた。だがCNNテレビは19日、トランプ氏は過去数日間、非公式の場ではイランにより厳しい姿勢を示していると報道。トランプ氏が対話姿勢を転換する可能性は捨て切れない。
トランプ政権は、ホルムズ海峡周辺で発生した日本の海運会社運航のタンカーへの攻撃などを受け、周辺海域の監視強化や安全確保を目指す有志連合構想を表明。19日に各国外交団を国務省に招き会合を開いた。米軍はこの直後、イランと敵対するサウジで約16年ぶりに米軍駐留を再開すると発表。イランに対する抑止力を向上させる狙いで、展開要員は500人程度とされる。
一方、イラン精鋭部隊「革命防衛隊」は、有志連合構想の説明会開催とほぼ同じタイミングで、英タンカーの拿捕を発表。英領ジブラルタル沖でイランのタンカーが拿捕されたことへの報復とみられ、米イラン間の対立は第三国にも飛び火しつつある。
危機回避を模索する動きがないわけではない。イランのザリフ外相は今週、滞在先のニューヨークで一部記者団に、米国の制裁解除と引き換えに恒久的核査察を受け入れる提案を表明した。トランプ大統領と親しく、イランとの対話を模索する米与党・共和党のポール上院議員とも面会したとされる。
ポンペオ国務長官も19日、ブエノスアイレスで「イランが交渉のテーブルに着く必要がある」と述べ、トランプ氏には前提条件なしの対話を行う用意があると強調した。だが、米国はイランの求める制裁解除を拒絶しており、つばぜり合いが続いている状況だ。