[ジュネーブ 24日 ロイター] – 日本政府の代表は24日に開かれた世界貿易機関(WTO)の一般理事会で、対韓輸出規制は安全保障に基づいており、WTOで取り上げられるのは適切ではないと述べた。
これに先立ち韓国側は、輸出手続きの優遇措置を適用する「ホワイト国」から韓国を除外する日本政府の方針に反論。日韓の数十年におよぶ経済・安全保障関係を損なうほか、自由貿易に反すると主張した。
日本政府は、対韓輸出管理の見直しで、武器に転用可能な特定品目を韓国に輸出する場合、国内業者は許可を得ることが義務付けられるとした。
伊原純一・駐ジュネーブ国際機関政府代表部大使は「措置は安全保障のための輸出管理制度に基づくもので、WTOで取り上げられるのは適切でない」と述べた。
韓国は国際社会を動員して日本の動きをけん制しようとしたが、WTO関係筋によると、いずれの国も介入する姿勢を示さなかった。
伊原氏は、日本は多くの国同様、定期的に輸出管理を見直していると主張。韓国が制度改善に取り組むという信頼に基づき2004年にホワイト国に指定したが、過去3年間は日本側が要求したにもかかわらず制度改善について全く協議が設けられなかったと説明。「さらに、韓国向け輸出で不適切な事案があった。こうした要因で、韓国に適用されていた簡素化措置を通常の手続きに戻した」とした。
WTOが定める最恵国待遇の下、広範な通商協定がない限り加盟国はどの国も同等に扱う必要がある。伊原氏は、ホワイト国指定の有無は各国の裁量に委ねられていると主張。
「韓国は日本の措置が自由貿易制度に反すると言うが、自由貿易とは武器に転用可能なモノや技術を管理・条件なしに取り引きするものではない」と反論した。日本が世界的なサプライチェーンを混乱させるとの韓国の主張については、日本の輸出管理見直しは安全保障に基づいているため、WTO規制は適用外であり、混乱を招く主張だと韓国をけん制した。
これに対し、韓国の金勝鎬(キム・スンホ)新通商秩序戦略室長は、日本側の高官に直接協議を求めたが、拒否されたと指摘。日本が外交上の報復のために貿易を利用していると非難した。