[ワシントン 26日 ロイター] – 米商務省が26日発表した第2・四半期の実質国内総生産(GDP)の速報値(季節調整済み)は年率換算で前期比2.1%増と、予想ほど減速しなかった。
市場予想が1.8%増、第1・四半期は3.1%増だった。個人消費が急増し、輸出減少や在庫投資の減速による影響を和らげた。
比較的良い内容だったが、懸念材料もみられた。設備投資が2016年第1・四半期以来初めてマイナスに転じたほか、住宅建設投資は6四半期連続で落ち込んだ。
米中貿易摩擦を中心に経済見通しのリスクが高まっていることを踏まえると、米連邦準備理事会(FRB)が31日に10年ぶりとなる利下げに踏み切ることには変わりないとみられる。
ロヨラメリーマウント大学のSung Won Sohn教授(経済学)は「将来の経済成長の鍵を握るのが企業支出だ。企業が消費者の熱狂を分かち合うところまで明らかに進んでいない」と指摘。雇用が減るため景気には良い兆候と言えないとし、来週の利下げを予想した。
トランプ大統領は、成長減速を重要視せず、勢いがなくなった責任をFRBに求めた。
ツイッターに「FRBという非常に大きな重しの制約を受けている状況を考慮すれば、それほ悪くはない。インフレはほとんどみられない。米国は『急成長』する見通しだ」と投稿した。
第2・四半期GDPの内訳は、米経済の3分の2以上を占める個人消費が4.3%増と、2017年第4・四半期以来の大幅な伸びだった。前期は1.1%増だった。年初めは35日間続いた政府機関の一部閉鎖が個人消費減速の一因だった。現在、失業率は約50年ぶりの低水準にあり、個人消費を下支えしている。
輸出は5.2%減と、前期の大幅な伸びから反転した。貿易赤字が拡大し、貿易はGDPを0.65%ポイント押し下げる方向に働いた。前期は0.73%ポイント押し上げていた。
個人消費の加速に伴い、過剰在庫が解消された。在庫投資は717億ドル増と、前期の1160億ドル増から減速した。在庫はGDPを0.86%ポイント押し下げる方向に働いた。在庫の第1・四半期GDPの寄与度はプラス0.53%ポイントだった。
設備投資は0.6%減った。ガスや石油の立坑・油井を含む住宅以外のインフラ投資が10.6%減少し、全体を押し下げた。知的財産は増加。機器への投資は0.7%増と、前期の落ち込みから持ち直したが、米航空機大手ボーイング(BA.N)が737MAX型機の問題で生産を減らしていることが依然として抑制要因だ。
政府支出は加速した。
昨年にトランプ政権が導入した1兆5000億ドル規模の減税政策の効果が薄れる中で経済は減速している。政権は年間の経済成長率を3.0%で安定させる目標を掲げ、減税政策のほか財政出動や規制緩和を実施した。
18年の成長率は2.9%だった。今年は約2.5%の見通しだ。エコノミストは、インフレ率が安定したまま持続させられる経済成長率を1.7―2.0%としている。
FRBが物価の目安とする変動の大きい食品とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)価格指数は前年同期比で1.5%上昇し、FRBの物価目標である2.0%を下回った。