- ディッシュ・ネットワークに資産売却、新携帯電話会社の誕生に道
- 主要ハードルをクリア、合併阻止訴えた州の出方に注目
米司法省は携帯電話サービス大手、TモバイルUSによる同業スプリントの買収を承認した。業界の勢力図を塗り替える合併計画が、主なハードルを一つクリアした。オバマ政権下で却下された大型合併は、トランプ政権になって息を吹き返した。
司法省の26日発表によると、両社は承認を得る条件として、一部資産を米衛星放送サービスのディッシュ・ネットワークに売却することに同意。新たな携帯電話会社の参入に道を開いた。TモバイルUSとスプリントは3年以内に米人口の97%、6年以内に99%をカバーする第5世代(5G)移動通信ネットワークを展開すると表明している。
司法省のデルラヒム反トラスト局長はディッシュへの資産売却により、「ディッシュはワイヤレス市場を揺さぶる勢力になる」と記者団に話した。
周波数とプリペイド事業
ディッシュは周波数帯域に加え、スプリントのプリペイド事業である「ブースト」と「バージン」を取得する。またディッシュが5Gの自社ネットワークを構築する間、Tモバイルは同社ネットワークへのアクセスを7年間、ディッシュに認めなくてはならない。
デルラヒム氏によれば、ディッシュはこれら資産を50億-60億ドル(約5430億-6520億円)で取得するが、手続きを完了しない場合の違約金が設定されている。
26日の米国株式市場でTモバイルは一時約7%高、スプリントは8%高となった。ディッシュは3.5%上昇した。
スプリントのマルセロ・クラウレ会長はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「きょうという日は、格別な一日だ」と述べ、「最後のマイルストーンへ近づいた。米国が5Gをリードするために必要な、最高の5Gネットワークを構築したい」と語った。
司法省の承認により、265億ドル規模の合併案件は完了へと歩を進め、合併の阻止を求めて複数の州が起こした訴訟でも、2社の立場を有利にする。州側は訴訟を継続する意向であれば、ディッシュとの取り決めで新たな携帯電話会社が誕生しても、競争面での悪影響を是正するには不十分だと判事を説得しなくてはならない。
原題:T-Mobile’s Sprint Deal Hasn’t Won Over States That Sued (2)(抜粋)