【バンコク時事】東南アジア諸国連合(ASEAN)の一連の外相会議が30日、バンコクで始まる。ASEANの一部加盟国と中国が領有権を争う南シナ海情勢や、北朝鮮の核問題を中心とした朝鮮半島情勢を協議。域外からポンペオ米国務長官や北朝鮮高官も参加する予定で、両国の接触が焦点となる。
8月3日までの期間中、ASEAN10カ国による外相会議のほか、日本や米朝も加わってアジア太平洋地域の安全保障問題を話し合うASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議、ASEANと日中韓3カ国の外相会議などを開催。参加各国の2国間会談も活発に行われる。
ARFは北朝鮮が参加する数少ない国際枠組みで、閣僚会議には例年、外相を派遣してきた。しかし、タイ政府によると、北朝鮮は李容浩外相が欠席すると伝えてきた。
タイ政府は李外相が出席に転じる可能性もあるとみて、ぎりぎりまで北朝鮮への働き掛けを続けるとみられる。タイ外務省は「李外相が出席しない場合も北朝鮮代表団は参加する」と強調した。
ASEAN外相会議の共同声明案は北朝鮮問題で、全当事者に「朝鮮半島の永続的な平和と安定に向けた対話の再開」を促している。
中国が軍事拠点化を進める南シナ海情勢では、声明案に埋め立てなどに対する「懸念」の文言が再び盛り込まれた。南シナ海の紛争防止を目的にASEANと中国が策定を目指す「行動規範」に関しては「双方の協力関係改善を温かく歓迎」という表現で中国に配慮を示している。
ASEAN加盟国と日本、中国、インドなど16カ国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は、各国の意見の隔たりが大きく、交渉が難航している。声明案は目標とする年内妥結に向けた「一段の努力」を関係閣僚に促している。