[ロンドン/ダブリン 30日 ロイター] – ジョンソン英首相は30日、アイルランドのバラッカー首相と電話会談し、英国が「是が非でも」10月31日に欧州連合(EU)から離脱するというスタンスを改めて表明した。 

ジョンソン首相の瀬戸際政策が世界経済や金融市場に影響を及ぼす「合意なき」離脱を引き起こすとの懸念が強まる中、ポンドは急落した。 

ジョンソン氏はバラッカー首相に対し、EUとの離脱協定案で争点となっているアイルランドの国境管理を巡る「バックストップ(安全策)」条項を削除するよう再度要請した。 

英首相府は電話会談について、ジョンソン首相は「英国が是が非でも10月31日にEUから離脱することを明確にした」と説明。「首相は合意に基づくEU離脱を望んでいるが、バックストップ条項を削除する必要があることを明らかにした」とした。 

これに対し、アイルランド政府は「バラッカー首相は、EUが離脱協定案の再交渉はできないという見解で一致していると説明した」と強調。その上で「将来的に安全策の代替手段に替える可能性はあるが、満足のいく選択肢は特定できていない」とした。 

UBPのポートフォリオマネジャー、モハメッド・カズミ氏は「ブレグジット(英のEU離脱)を巡る懸念が近く和らぐ可能性は低く、10月31日に近づくにつれて、懸念は一層強まる公算が大きい」と述べた。 

ポンド/ドルはオーバーナイト取引で、2年4カ月ぶり安値の1.2120ドルに沈んだ。 1230GMT(日本時間午後9時半)時点で、ポンドGBP=D3は1.2177ドル。対ユーロ、円でも下落した。 

ポンドはジョンソン氏が先週首相に指名されてから3.6%下落。EU離脱の是非を問う国民投票が実施された2016年以降では28%下落している。