[上海/北京 31日 ロイター] – 1年に及ぶ貿易戦争の解決を目指した米中の閣僚級協議は31日、予定を早めて終了した。協議では中国による米国産農産物の輸入拡大が話し合われた。次回の会合は9月に米国で開催される予定だ。 

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とムニューシン財務長官は30日に上海入りし、劉鶴副首相ら中国側交渉団との夕食会に臨んだ。 

2日目の協議は実質半日で終了。予定より約30分早い現地時間午後1時45分(日本時間午後2時45分)ごろ集合写真の撮影を行ったあと、米代表団は会場のホテルを発った。 

ホワイトハウスのグリシャム大統領報道官は声明で、協議は「建設的」だったと評価した上で、中国が米国産農産物の購入を拡大するとの見通しを表明。引き続き9月上旬にワシントンで協議を再開する予定とした。 

中国商務省は声明で「双方が大阪での首脳会談の合意に基づき、主要な通商・経済問題について率直ながらも非常に効果的で、建設的かつ突っ込んだやりとりを行った」とし、中国による米国産農産物の購入拡大が議題になったが、購入拡大で合意はしていないと述べた。 

また中国共産党系メディア、環球時報の胡錫進編集長はツイッターで「双方は米国産農産物の購入拡大について討議し、米国側はそのための良好な環境作りで合意した。今後も協議は継続する」とした。 

ホワイトハウスは声明で、中国の国庫補助金や強制的な技術移転、知的財産権の侵害についても議論されたとした。中国側の発表では農業以外の議題について言及されていない。 

今回の協議は、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が6月の首脳会談で通商協議を再開することで合意してから初めての対面協議だった。 

トランプ氏は協議に合わせてツイッターに投稿し、中国が通商協議を巡り自身の1期目の任期が終わるまで時間稼ぎをしないよう警告した。2020年11月の米大統領選でトランプ氏が再選すれば、通商協議の行方はさらに厳しいものとなり、決裂する恐れもあると強調した。 

中国外務省の華春瑩報道官は31日の定例会見で、トランプ氏の投稿に関する質問に対し、交渉の進展状況については把握していないと述べた上で、過去1年の通商協議で、状況が急変した責任は米国にあると指摘。「現時点で米国が最大限の圧力をかけてくることは全くナンセンス。自分が病気であるのに、他人に薬を飲むよう指図するのは無意味だ」と述べた。 

ライトハイザーUSTR代表は8月1─2日にワシントンで茂木敏充経済再生相と会談する予定。情報筋によると、米農産物の販路を拡大する代わりに自動車部品への米関税を引き下げる可能性があるという。