[1日 ロイター] – トランプ米大統領は1日、3000億ドル相当の中国製品に対し10%の制裁関税を課すと発表した。9月1日に発動する。閣僚級の米中通商協議が7月末に再開したものの、進展が見られないことが背景にあり、貿易摩擦が再び悪化する恐れがある。
市場関係者のコメントは以下の通り。
<インバーネス・カウンセル(ニューヨーク市)の首席投資ストラテジスト、ティム・グリスキー氏> 米連邦準備理事会(FRB)は通商問題の解決を望んでいたが、全く進展がないことが確実に示された。
関税措置は経済のためにならない。消費者のためにもならないし、企業のためにもならない。FRBは対中追加関税発動が経済に及ぼすマイナスの影響を相殺するために、次回9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げを決定する公算が大きい。
<ジョーンズトレーディング(コネティカット州)の主任市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏> 追加関税が貿易や世界経済に良くないのは当たり前だが、どうもこれはトランプ米大統領による貿易戦争という名のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長いじめのように思える。市場は好感しないだろう。
いずれにしても、状況がさらに悪化したことは間違いない。5月初めの時点で、われわれは米中が5月10日までに妥結すると見込んでいた。それから時間が経ち8月に入ったが、今やほぼすべての中国製品に関税がかけられようとしている。今回の関税対象にはアップル(AAPL.O)のiPhoneなども含まれる。
関税の影響は小売業界も直撃しており、追加関税は世界経済にとって摩擦の拡大でしかない。市場は事態の好転を期待していたのに、実際の状況は悪化の一途をたどっている。今後リスクオフ取引が広がると予想される。
<メリル・アンド・バンク・オブ・アメリカ・プライベートバンク(ニューヨーク)の投資部門責任者、ジョーセフ・キンラン氏> 米中貿易戦争の停戦が引っ込められたとみられることが最大の問題で、これが市場に対する衝撃となった。
この問題はシステミックなものであるとの認識が市場に広がった。先行き見通しが悪かった中で、さらに先行き不透明感が高まった。市場は先行き不透明感を好まず、不確実性という点では寝耳に水だった。
<アリアンツの首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏> 関税を巡る激化はさほど驚きではない。経済と国家安全保障の両面を考慮すると、今週の通商協議で期待された最も良い展開は停戦であり、緊張が高まる可能性は十分にあった。
来年の米大統領選が近づくにつれ、中国が現在の時間稼ぎ姿勢を強める可能性は高い。一方、これにより追加関税のほか、他の経済・投資面における規制の可能性は高くなるだろう。
また米連邦準備理事会(FRB)に一段のプレッシャーを与え、政権や市場の圧力に屈することも想定される。