政府は2日、安全保障に関連する物品の輸出管理で手続きを優遇する「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。ホワイト国からの除外は初めて。韓国に対しては7月から半導体材料などの輸出管理を厳格化しているが、ホワイト国除外で他の幅広い物品の輸出についても原則、優遇措置がなくなる。元徴用工問題などを巡り日韓の対立は深まっており、今回の措置で関係がさらに悪化するのは必至だ。
韓国はホワイト国から除外しないよう求めており、米国も2日午後に開く予定の日米韓外相会談で「仲介」に乗り出す姿勢を示しているが、除外決定に踏み切った。
日本は、大量破壊兵器などの拡散を防ぐための輸出管理体制が整っている米欧など27カ国をホワイト国と認定し、輸出手続きで優遇措置を取っている。韓国は2004年に認定し、アジアでは唯一のホワイト国となっている。除外されると、食料や木材などを除き軍事転用の恐れがあると政府が指定した幅広い分野の物品について、輸出契約ごとに経済産業省の許可が必要になる。許可の審査には90日程度かかるとされ、日韓の貿易や企業活動に影響が出る可能性がある。
日本は7月、韓国の輸出管理体制が不十分で、約3年間にわたって貿易管理を巡る日韓の協議が開けないことなどを理由に、韓国をホワイト国から除外する方針を表明した。除外に先立ち、すでに同4日から半導体材料などに使うフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの3品目について韓国への輸出手続きを優遇する措置をやめた。
韓国政府は、こうした規制強化が「元徴用工問題への報復措置で、自由貿易の推進に反する」として撤回を要求。世界貿易機関(WTO)への提訴も辞さない構えを示している。だが、日本側は「安全保障上、適切な輸出管理に必要な運用の見直し」として除外に向けた手続きを進めてきた。経産省は、7月1~24日の期間でホワイト国除外についての意見公募を実施。関係者によると、3万件を超える意見が寄せられ大半が除外に賛成だったという。【土屋渓、松本尚也】