[ニューヨーク 2日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、米中貿易戦争の激化で米連邦準備理事会(FRB)が9月に追加利下げを決定するとの観測が高まったことを背景に、ドルが広範な通貨に対して下落した。 

トランプ米大統領は前日、3000億ドル相当の中国製品に対する10%の制裁関税を9月1日付で発動させると発表した。米労働省がこの日に発表した7月の米雇用統計では非農業部門雇用者数の伸びが鈍化し、米中貿易摩擦の高まりと共に来月の追加利下げを後押しする可能性があるとの見方が出ている。 

実際、金融市場ではFRBが9月の次回連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げを決定するとの観測はほぼ完全に織り込まれており、ドルは円JPY=に対し0.76%下落し、1月3日以来の安値を付けた。ユーロEUR=に対しては0.22%安、スイスフランCHF=に対しては0.83%安となった。 

BMOキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)のグローバル外為戦略部門責任者、グレッグ・アンダーソン氏は雇用統計について「全体的に見ると9月の利下げの論拠が増す結果となったため、若干のドル安要因となった」としている。 

FRBは7月31日までの2日間の日程で開いたFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.00─2.25%に25ベーシスポイント(bp)引き下げることを決定。パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、今回の利下げは海外情勢から米経済の拡張を守るための「サイクル半ばにおける調整」的な性格を持つと説明した。 

CMEグループのフェドウオッチによると、2日午後の時点で市場が織り込む9月利下げの確率は98.1%。1週間前の56.2%から大きく上昇した。ただ、アライアンスバーンスタインの債券部門共同責任者、ガーション・ディステンフェルド氏は「パウエル議長は記者会見で、次の動きについて何も確定的なものはないと言いたかったに過ぎない」と指摘。市場が織り込む9月利下げの確率は高過ぎるとの見方も出ている。