[ニューヨーク 5日 ロイター] – 米国株式市場は大幅安。主要株価3指数はそろって約3%急落し、1日としての下落率は年初来最大となった。中国はこの日、人民元安を容認する姿勢を明示。トランプ米大統領は前週に中国製品に対する追加関税発動する方針を表明しており、米中の貿易を巡る対立が泥沼化するとの懸念が高まっている。 

株価は取引終盤で下げ幅をやや縮小し、この日の安値からは若干戻して引けたものの、S&P総合500種は2.98%安で終了。6営業日続落となり、7月26日に付けた終値ベースの過去最高値から約6%低い水準となった。リフィニティブのデータによると、S&P総合500種のこの日の下落分は時価総額にして7660億ドルに相当する。 

中国人民元CNY=CFXSは1ドル=7.0352元で5日の通常取引を終了。1ドル=7元を超える元安は2008年5月9月以来初めてで、関係者は中国の金融規制当局が市場が米中貿易摩擦や弱い経済成長率を巡る懸念を織り込めるよう1ドル=7元を超える人民元安を容認したと明らかにしている。こうした中、トランプ米大統領はこの日、中国が約10年ぶりの元安を容認したことを「重大な違反行為」で「為替操作」であると批判した。 

トランプ大統領は前週、3000億ドル相当の中国製品に対し10%の制裁関税を9月1日付で発動させると発表。市場では人民元相場の急落は中国による米関税措置への報復との見方も出ている。 

ジェフリーズ(ニューヨーク)の株式ストラテジスト、スティーブン・デサンクティス氏は「貿易戦争がエスカレートしている」と指摘。緊張の高まりに拍車をかけるように、中国商務省は中国企業が米国の農産品の輸入を停止したことを明らかにしたほか、8月3日以降に購入手続きが行われた米国の農産品に対し輸入関税をかけることを排除しない姿勢を示した。 

中国へのエクスポージャーが高い企業を含むS&Pハイテク株指数.SPLRCTは4.1%、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数).SOXは4.4%、それぞれ下落した。 

米アップル(AAPL.O)は5.2%安で取引を終了。アナリストは、対中追加関税の発動でiPhone需要が損なわれる可能性があると指摘している。 

サントラスト・アドバイザリー・サービシズ(アトランタ)の首席市場ストラテジスト、キース・ラーナー氏は、トランプ氏が追加関税を発動させるとした9月までに米中の通商関係が改善に向かう兆しが見られなければ、株価は一段と下落する可能性があると予想。「向こう数週間は(イベントの)空白期間となる。現在は調整局面に入っており、まだ余地はある」と述べた。 

「恐怖指数」と呼ばれるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数).VIXは6.98ポイント上昇の24.59と、約7カ月ぶりの高水準を付けた。 

個別銘柄では米食肉加工大手のタイソン・フーズ(TSN.N)が5.1%高で終了。四半期決算が好感された。 ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を6.36対1の比率で上回った。ナスダックは6.46対1で値下がり銘柄数が多かった。 米取引所の合算出来高は94億1000万株。直近20営業日の平均は68億株。