[ワシントン 5日 ロイター] – 米中通商問題を巡る緊張の高まりが経済、および金融政策の道筋にどのような影響を及ぼすのか当局者の間で検証が続く中、米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事とカンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は5日、この日の米株式相場の急落を注意深く見守っていると述べた。 

ブレイナード理事はカンザスシティー地区連銀で開かれたフォーラムで、「見通しにどのような影響が及ぶのか、事態の展開を注意深く見守っており、引き続き極めて注意深く対応したい」とし、景気拡張の継続に向け、必要に応じて利下げで応じることにわれわれはコミットしているとこれまでも述べてきたと語った。 

FRBは7月30─31日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.00─2.25%に25ベーシスポイント(bp)引き下げることを決定。ブレイナード理事はこれに賛成票を投じている。 

この決定に反対票を投じたカンザスシティー地区連銀のジョージ総裁もこの日、米中貿易戦争の最新の展開に対する市場の反応を注意深く見守っていると指摘。「市場の動きは速く、どのような展開になるのか見極めるのにしばらく時間がかかる」とし、「現時点でわれわれができる最善のことは市場の展開を見守ることだ」と述べた。 

FRBは7月31日に予防的な措置としての利下げを決定。その翌日にはトランプ大統領が3000億ドル相当の中国製品に対し10%の制裁関税を9月1日付で発動させると発表した。 

週明け5日は中国人民元CNY=CFXSが1ドル=7.0352元で通常取引を終了。1ドル=7元を超える元安は2008年5月9月以来初めてで、関係者は中国の金融規制当局が市場が米中貿易摩擦や弱い経済成長率を巡る懸念を織り込めるよう1ドル=7元を超える人民元安を容認したと明らかにしている。 

FRBが年内に開く連邦公開市場委員会(FOMC)はあと3回。市場ではFRBは年内に追加利下げを実施するとの観測が高まっている。