【ソウル時事】日本政府が韓国向け半導体材料の一部製品の輸出を許可したことを受け、韓国大統領府関係者は8日、許可自体は「肯定的に評価する」と述べ、前向きに受け止めた。しかし、今後も日本側が許可し続ける確証はなく、韓国側は警戒を緩めていない。
文在寅大統領は8日午前に開いた経済閣僚や大学教授との会議で、日本の輸出許可を念頭に「実際に被害がないこともある。だが、変わらないのは不確実性が依然続く点だ」と指摘した。
大統領はまた、「不確実性が及ぼす脅威にどんな対応策が必要か関心を向けてほしい」と呼び掛け、輸出規制に対抗していく姿勢を強調。日本側に撤回を求める外交努力を続け、事態打開を図る考えも示した。
韓国政府によると、輸出が許可されたのは半導体基板に塗るレジスト(感光材)。聯合ニュースは、半導体大手・サムスン電子が申請を行ったと伝えた。日本政府の輸出許可を好感したとみられ、8日のソウル株式市場の株価は反発。7営業日ぶりの上昇となった。
ただ、韓国メディアによれば、同社でIT・モバイル通信事業を率いる高東真社長は7日、米ニューヨークで記者団に、輸出規制が続けば「スマートフォン事業が3~4カ月後に相当な難関に直面する可能性がある」と予測した。
今月28日には輸出管理の優遇対象国から韓国を除外する政令が施行される予定。韓国を取り巻く厳しい状況は続く。