[ニューヨーク 9日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、安全資産と見なされる円やスイスフランが上昇。米中貿易摩擦を巡る懸念に加え、イタリアでの政局不安、世界的に低調な経済指標が逃避買いを誘う中、円は対ドルで一時7カ月ぶり高値を更新した。

ラボバンクのシニア為替ストラテジスト、ジェーン・フォーレー氏は「日銀は引き続き消費者物価上昇率を目標の2%に押し上げることに苦悩しており、円高を歓迎しないだろう」とし、「米中貿易摩擦の悪化は、安全資産に対する旺盛な需要が当面続くことを示唆している」と述べた。

トランプ米大統領がこの日、米国は引き続き中国との貿易交渉を継続しているが、当面の合意はないとの考えを明らかにしたことを受け、米株価は下げ幅を拡大した。大統領はさらに、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と取引は当面行わないとの方針も示した。

トランプ氏はまた、米連邦準備理事会(FRB)に対し政策金利を1%ポイント引き下げるよう要求した。

指標では、7月の米卸売物価コア指数が前月比0.1%下落し、2015年10月以来初めてマイナスとなり、インフレが引き続き抑制されていることを示した。 カナダの7月雇用者数は2万4200人減と、予想外の減少となった。また、第2・四半期の英国内総生産(GDP)は前期比0.2%減と、12年第4・四半期以来6年半ぶりのマイナス成長となった。

イタリアで、連立政権を担う極右「同盟」がコンテ内閣に対する不信任案を提出したことも市場心理を圧迫した。同盟のサルビーニ党首が求める解散総選挙につながる可能性がある。

終盤の取引で、ドル/円は0.5%安の105.58円。一時、7カ月ぶり安値となる105.25円を付ける場面もあった。週足では、円は対ドルで2週連続で上昇。

スイスフランは対ドルおよびユーロで上昇。ドル/スイスフランは0.3%安の0.9723フラン、ユーロ/スイスフランは0.1%安の1.0892フラン。ユーロ/ドルは0.2%高の1.1205ドル。

主要6通貨に対するドル指数は0.1%安の97.508。 週間では6月21日終了週以来の大幅な下げを記録した。低調な指標を受け、ポンド/ドルは0.7%安の1.2050ドル。対ユーロでも0.7%下落した。

ドル/円 NY終 105.66/105.69

始値 105.75
高値 105.84
安値 105.27
ユーロ/ドル N 1.1198/1.1202
Y終値
始値 1.1204
高値 1.1222
安値 1.1189