【ワシントン時事】日米両政府による貿易協定締結に向けた事務レベル協議は14日、ワシントンで2日間の日程を終えた。9月末までの大枠合意を目指し、農産物や工業製品の関税撤廃・引き下げをめぐり、互いに主張を通したい品目の絞り込みを進めた。今月21、22両日にも当地で開く閣僚会合に合わせて再協議を行うことで一致した。

 日米閣僚は今月初旬の前回会合で、9月の合意目標を確認したとされる。今回の事務協議を取りまとめた渋谷和久内閣官房政策調整統括官は、終了後の記者会見で「論点が相当明確になり、議論がかみ合ってきた」と指摘した。今月24~26日にフランスで開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)に際して日米首脳会談が開かれることを想定し、その前に再協議する。

 関税交渉は、環太平洋連携協定(TPP)の発効で焦りを強めた米国の意向もあって農業が先行しているが、複数の関係者は、米国が守勢に立つ工業製品で踏み込んだ譲歩を示すには「時期尚早」と話している。渋谷氏は「なかなか気を許さないところがある」と述べ、隔たりが残っていることを示唆した。

 日米交渉は今月から貿易協定の条文案を作成するなど大詰めを迎えている。渋谷氏は、域内関税をゼロとする条件を定めた「原産地規則」の見直しに着手したことを明らかにした。原産地規則は農産物、工業製品の関税交渉の仕上げに欠かせないルールとされる。