米複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)に、巨額の不正会計疑惑が浮上した。米著名会計専門家が15日、GEの保険やエネルギー事業などで、少なくとも計380億ドル(約4兆円)にのぼる不正処理があると告発。GEは疑惑を全面的に否定しているが、GE株はこの日のニューヨーク市場で11・3%も急落した。
会計専門家ハリー・マーポコロス氏は、GEをめぐる170ページ超の報告書を公表。GE傘下の介護保険事業の準備金が不足しているなど複数の疑惑を指摘し、資金繰りにも問題があると主張した。米テレビでは、GEが経営破綻(はたん)に向かっている可能性があるなどと語った。マーコポロス氏はかつて、当局に先駆けて巨額詐欺「マドフ事件」を告発したことで知られる。
これに対しGEは「指摘には根拠がない」などと反論する声明を出した。マーコポロス氏が、GE株価の下落によって利益を得るヘッジファンドと組んでいることから、その利益が目当ての主張だとの考えを示した。
GEのカルプ最高経営責任者(CEO)も「単純な相場操縦にほかならない」との声明を出し、約200万ドル相当のGE株を個人で購入したと米証券取引委員会(SEC)に届け出た。
業績不振が続くGEに対しては、2018年に保険事業で60億ドル超の特別費用を突然計上した件などをめぐり、SECが調査に入っている。GE株は17年初めに30ドル前後だったが、15日は前日比1・02ドル安い8・01ドルまで売られた。(ニューヨーク=江渕崇)