[ニューヨーク 19日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場では、安全資産とされる円やスイスフランが対ドルで下落した。主要中銀が景気押し上げに新たな刺激策を打ち出すという期待でリスク選好が改善した。
対ドルで円は3営業日続落。スイスフランは2週間ぶり安値を付けた。
アナリストは、米ワイオミング州ジャクソンホールで今週開催される年次経済シンポジウムで、各国中銀が新たな施策を公表する可能性があると指摘。シンポジウムを前に、前週の長短金利逆転に端を発したリセッション(景気後退)懸念を和らげるための対策が導入される期待が高まった。
中国人民銀行(中央銀行)は17日、企業の借入コスト低下と減速している景気を後押しすることにつながる金利改革を公表。また、ドイツ連立政権が景気後退に備え財政均衡ルールを撤廃し、新たな借り入れを行う用意を整えると先週伝えられたこともリスク選好を後押しした。
TDセキュリティーズの為替ストラテジスト、メイゼン・イッサ氏は「中銀による一層緩和的な環境がリスク市場の下降を防ぐと考えている」と述べた。
終盤の取引で、ドルは対円JPY=で0.3%上昇し、106.66円。ドル指数.DXYは0.2%高の98.358。
スコシアバンクはリサーチノートで、ドル/円がテクニカル的に安定化の兆しを見せているとし、「今週末にかけてドルがさらに伸長するとみており、106.80円を超える終値を想定する」と指摘した。 ユーロEUR=は0.1%安の1.1079ドル。先週は7月初め以来最大となる1%下落を記録した。
対スイスフランCHF=では0.3%高の0.9816フラン。スイス国立銀行(中央銀行)が公表した統計によると、サイト・デポジット(市中銀行が中銀に預ける要求払い預金、当座預金)が8月16日までの週に約40億スイスフラン(40億9000万ドル)増加。スイス中銀がフラン高抑制に向け先週も外国為替市場への介入を継続した公算が大きいことが示唆された。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、23日にジャクソンホールで講演を行う。 市場関係者はパウエル氏の発言について、FRBが緩和姿勢を維持し、追加利下げの環境を整えるという市場を安心させる内容になると予想。
BKアセット・マネジメントの為替戦略マネジングディレクター、キャシー・リエン氏は、ジャクソンホール会合はFRBが市場期待を設定・再設定する絶好の機会だとし、「9月の利下げにコミットしているなら、個人消費や小売売上高の改善を軽視する発言が中銀当局者から出るだろう」と述べた。
ドル/円
NY終値 106.62/106.65
始値 106.57
高値 106.69
安値 106.46
ユーロ/ドル
NY終値 1.1076/1.1080
始値 1.1106
高値 1.1108
安値 1.1077