[ローマ 20日 ロイター] – イタリアのコンテ首相は20日、連立政権の一翼を担う右派「同盟」から内閣不信任案が提出されたことを受け、辞意を表明した。これを受け、発足から1年2カ月しか経っていない連立政権は崩壊し、今秋にも予定より3年半前倒しで総選挙が実施される可能性がある。
首相は議会演説で、同盟を率いるサルビーニ副首相が党の利益を優先させ、連立政権を崩壊に導いたと批判。この日のうちにマッタレッラ大統領に辞表を提出すると語った。大統領は辞表受理後、新たな連立政権の発足が可能か各党と正式に協議を開始する。連立政権が発足できなければ、大統領は議会解散に踏み切る。
コンテ氏は、サルビーニ副首相が高い支持率を利用して「自分自身や党の利益ばかりを追求してきた」とし、「彼の決定はわが国にとって深刻なリスクをもたらす」と批判。「議会を軽視し、国を政治的不確実性と財政不安に陥れた責任がある」とし、サルビーニ氏の行動は「著しく無謀」だと述べた。
こわばった表情でコンテ氏の演説を聞いていたサルビーニ氏は反論。他の政党は選挙で議席を失うのを恐れていると批判し、自身は欧州連合(EU)の財政規律の変更を政治的な目標に掲げていると表明した。
その上で、イタリア政府は景気刺激に向け少なくとも500億ユーロ(550億ドル)を投入する必要があるとし、「私は何も恐れていない」と述べた。
サルビーニ氏は内閣不信任案を提出したものの、2020年予算案が承認されるまで連立政権を維持する姿勢も表明。「野心的な予算案を提案する用意がある」と述べた。