立憲民主党と国民民主党がきのう、衆参両院で統一会派を結成することで合意した。会派運営を円滑に進めるため、「会派運営協議会」を設置するという。安倍1強の政局に対抗するための野党勢力の結集。建前はその通りだし、おそらく反政権側に立つ有権者の誰も反対しないだろう。個人的にも期待したいと思っている。その一方で、「多分うまくいかないだろう」との声が頭の片隅を過ぎる。民主党から民進党、そして立憲民主と国民民主に分裂した過去の経緯が、統一会派の先行きに不安を抱かせる。こうした不安を乗り越える何らかの合意が両党の間で醸成されたのだろうか。寡聞にしてそうした動きは知らない。安倍政権の数に数をもって対抗する、それは単なる数集めでしかない。両党と周辺の勢力を足しても安倍自民の数には遠く及ばない。

統一会派結成の条件として立憲が提示したのは「原発ゼロ」政策への理解。これに対して国民は衆院のみでの統一会派という立憲の提案を拒否し、衆参両院で統一会派を結成することを逆提案した。玉木氏が「原発ゼロ」政策を受け入れ、枝野氏が両院を対象とすることを受け入れて統一会派の結成が合意されたとメディアは伝えている。もともと一緒の党だったのだから、その他の政策は大筋で合意しているのかもしれない。しかし、統一会派を結成して何を実現したいのか、そのための“御旗”ともいうべき政策は何なのか、誰にもわからない。先の参院選でも1人区で統一候補を立てて戦った。この時も政策らしきものはほとんどなかった。あるのは数で圧倒する現政権への対抗意識だけだった。

安倍政権の政策も、たとえば消費税率の引き上げのように、大半の国民から支持されているわけではない。付け入るスキはいくらでもある。にもかかわらず分裂に分裂を重ねた野党は、このスキに付け入るチャンスをことごとく逃している。この間隙を縫って登場したのがれいわ新撰組だ。例えば山本代表は、消費税の撤廃(あるいは5%への税率引き下げ)に伴う財源として新規国債の発行を公約に掲げている。立憲、国民とも消費税の凍結は公約するが、代替財源は明記していない。社会福祉政策にしても然り。重度身障者を国会に送り込むという、政治的に全く新しい発想は立憲にも国民にもない。統一会派もいいが、個人的には“政策共闘会派”を望みたい。年金改革など安倍政権につけ込むスキは山ほどある。共有できる政策がない統一会派では、来たるべき衆院選挙でも展望が開けないだろう。