日韓関係改善の糸口は一向に見えてこない。きのうは日中韓の3カ国外相会談に続いて、日韓の外相会談が北京で開かれた。河野外相は徴用工をめぐる国際条約違反の状態解消を康京和(カン・ギョンファ)外相に要求したが、回答はなし。代わりに韓国側は日本の貿易管理に関する一連の強化策を撤廃するよう改めて要求した。日本側は、ボールは韓国にあると主張している。韓国が動かない限り日本は対応しようがない、ということだろう。これに対して韓国は徴用工問題には一切触れず、日本の韓国敵視政策を標的にした対抗策を矢継ぎ早に繰り出している。これではいつまで行っても平行線だ。平行線が続くならまだいい。両国の溝はどんどん広がりそうな雰囲気だ。

韓国食品医薬品安全庁はきのう、日本産の一部の加工食品や農産物計17品目に対する放射性物質の検査を、23日からサンプル量と検査回数を2倍に強化すると発表した。19日には韓国外務省が韓国に駐在する公使を呼び出し、「東京電力福島第1原発から出る汚染水の処理方針や放射性物質トリチウムを含む処理水の『海洋放出』に関する事実確認と説明を求めた」と発表している。あらゆる手を尽くして日本に対する“嫌がらせ”を徹底的にやる。そんな姿勢が見え隠れする。大韓航空をはじめ格安航空各社が日本便の一時停止や減便に乗り出している。日本の観光地から韓国人観光客が蜘蛛の子を散らすようにいなくなったという報道もある。日韓決別の時が迫っているような雰囲気だ。

唯一の救いは今後とも外相会談を続け、情報交換を緊密に行うことで合意したことぐらいか。24日にはGSOMIAの更新期限が迫っている。日本を全面的に排除したい韓国だが、米国がからむ防衛協力を拒否することはできないだろう。解決の糸口は時間をかけて模索するしかなさそうだ。そうこうするうちに時事ドットコムには「米アップル、中国製パネル調達も」という記事が掲載された。アップルのサムスン離れが始まったという見方を示唆するものだ。時間による解決を待つ間にマーケットが反応する可能性も否定できない。さすがの韓国も、河野外相の要求は拒否できてもマーケットの動きは無視できないだろう。地方創生の主役だった韓国からの訪日客が激減して日本も打撃を受けている。なにやら問題は地方創生対韓国大企業の我慢比べの様相を呈してきた。