[ソウル 22日 ロイター] – 韓国大統領府は22日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表した。日本が貿易規制上の優遇措置対象である「ホワイト国」リストから韓国を除外し、両国の安全保障協力環境に「重大な変化」をもたらしたことが理由とした上で、協定の維持は国益にかなわないと判断したと表明した。
今回の決定に先立ち、大統領府の国家安全保障会議(NSC)は数時間にわたる協議を行った。協定の更新期限は今月24日で、日韓のどちらかが破棄を通告しない限り自動的に延長されることになっていた。
会見した大統領府の金有根(キム・ユグン)国家安保室第1次長は、日本政府が明確な証拠を提示せず、安全保障上の懸念を理由に、韓国をホワイト国のリストから除外したと発言。これにより、両国の安全保障協力環境に「重大な変化」が生じたとの認識を示した。
その上で「このような状況では、安全保障上、敏感な軍事情報を交換する目的で調印した協定を維持することは国益にかなわないと判断した」とし、日本政府に対し期日までに正式な通知を行うと述べた。
河野太郎外相は談話を発表し、韓国による軍事情報協定の破棄決定は「地域の安全保障環境を完全に見誤った対応と言わざるを得ず、極めて遺憾」とした上で、協定終了の決定と輸出管理の見直しは全く次元の異なる問題であり、韓国側の主張は全く受け入れられず、韓国政府に対し断固抗議すると表明。南官杓駐日韓国大使を外務省に呼び、直接申し入れを行った。
カナダを訪問中のポンペオ米国務長官は記者団に対し「韓国の決定に失望した。日韓両国に対し引き続き連携を求める」と語った。
米国防総省のイーストバーン報道官は声明で、共通の防衛戦略を展開する上で情報共有は欠かせず、日米韓が連携できれば安全性は一層高まると指摘。「問題解決に向け日韓が協力するよう要請する。両国の速やかな対応を期待する」と述べた。
韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は記者団に対し、日本への信頼喪失が今回の決定を招いたと強調し「引き続き米国との協力関係を強化するとともに同盟関係の発展に努める」と語った。