フランスで開かれていたG7サミット=主要7か国首脳会議は、日本時間の昨夜、閉幕しました。1975年の第1回のサミット以来、発出されてきた包括的な首脳宣言の採択は今回、初めて見送られた一方、イランや香港などの地域情勢や貿易・通商問題について、首脳間で一致した内容を簡潔にまとめた文書が発表されました。
フランス南西部のビアリッツで開かれていたG7サミット=主要7か国首脳会議は、日本時間の昨夜、閉幕しました。
サミットでは、自由貿易や地球温暖化対策への対応で意見の隔たりが大きいことから、例年発出されてきた包括的な「首脳宣言」の採択は見送られました。首脳宣言の採択見送りは、1975年にフランスで開かれた第1回のランブイエサミット以降、G7サミットの歴史で初めてです。一方、閉幕にあたって、議長を務めたマクロン大統領の意向で、貿易・通商問題や地域情勢について、首脳間で一致した内容を簡潔に記した文書が急きょ発表されました。
それによりますと、貿易・通商問題について、開かれた貿易や世界経済の安定が必要だとしたうえで、WTO・世界貿易機関の改革を行うことで知的財産の保護をより効果的に行うなどとしています。
また、地域情勢をめぐって、イラン情勢については、イランに核兵器を保有させないようにするとともに地域の平和と安定を推進するなどとしています。
ウクライナ情勢について、フランスとドイツは、具体的な成果を達成するため数週間以内に代表者による会議を開催するなどとしています。
リビア情勢については、リビアの停戦に向けて支援し、政治的解決だけが、リビアの安定を保証するとして、すべての利害関係者と地域の関係者が参加する国際会議の開催を期待するなどとしています。
香港情勢について、G7は、1984年の中国への香港返還の合意文書の重要性を再確認し、暴力の回避を求めるなどとしています。
また、今回のサミットでは、アフリカとのパートナーシップなど、議長国フランスが重視する分野で個別に成果文書が出されました。
文書発表も 内容は限定的
記者会見でマクロン大統領は文書はみずから作成したものだとしたうえで「非常にポジティブで団結の精神が示された。形式張らずに話し合いができ、いくつかの重要な方向性が打ち出された」と成果を強調しました。
今回のサミットでマクロン大統領は、各国の意見の隔たりが大きいとして当初から首脳宣言をまとめない方針を示し、代わりに首脳間の自由な議論を尊重したとしていました。
しかし今回の成果文書では議長国として最も重要視していた地球温暖化対策についても一切、触れられていないなど、各国が一致できた内容が極めて限られていたことが改めてうかがえます。
G7として強いメッセージを打ち出せたとは言えず、影響力をどう維持していくのか、一層課題になっています。