ロイター通信は、香港政府トップ、林鄭月娥行政長官が非公開の会合で発言したとする音声を公開しました。この中で林鄭長官は、「もし選択肢があるなら、まず辞めて謝罪したい」と述べ、みずからの辞任も含め、重要な決定ができないことをにじませました。
香港では、容疑者の身柄を中国本土に引き渡せるようにする条例の改正案をめぐって3か月近く、大規模な抗議活動が相次ぎ、一部は過激化するなど社会の混乱が続いています。
こうした中、ロイター通信は、香港政府トップの林鄭月娥行政長官が先週開かれた非公開の会合で発言したとする音声を公開しました。
発言は英語で行われ、林鄭長官は「もし選択肢があるなら、真っ先にすることは辞めることだ。辞任して謝罪したい」と述べています。
また、「香港の問題は米中関係の緊張の中、国家の主権や安全保障のレベルに格上げされてしまった」と指摘したうえで、「行政長官は中国政府と香港市民という2人の主人に仕える身でできることは非常に限られている」と述べ、抗議活動で要求されているみずからの辞任も含め、重要な決定ができないことをにじませました。
今後の見通しについて、林鄭長官は「中国政府も香港政府も10月1日の建国記念日より前に現状を解決できるとは期待していない」として、混乱の収束には時間がかかると示唆したほか、「中国は人民解放軍を送り込む計画は持っていないと思う」とも述べており、中国政府が武力で介入する可能性は低いという見方を示しました。