[北京 6日 ロイター] – 中国人民銀行(中央銀行)は6日、今年3回目となる市中銀行の預金準備率(RRR)の引き下げを発表した。これにより、9000億元(1263億5000万ドル)が金融システムに放出される。
発表によると、市中銀行すべての預金準備率を50ベーシスポイント(bp)引き下げる。一部の銀行については、追加で100bp引き下げる。大手銀行の預金準備率は13.0%となる。
全銀行を対象とする引き下げは9月16日から実施。対象を限定した追加的な引き下げは、10月15日と11月15日の2段階に分けて実施する。
預金準備率の引き下げは、2018年初頭から7回目。昨年来、さまざまな支援措置や政策緩和が実施されているが、中国経済はなかなか回復軌道に乗れず、第2・四半期の成長率は27年ぶりの低水準だった。
マッコーリーグループ(香港)の大中華圏経済部長、ラリー・フー氏は「今回の対応で当局が懸念を強めていることがうかがえるものの、経済の安定化は程遠い。あらゆる部門が減速しており、貿易戦争や世界経済の減速などを背景に企業も投資に後ろ向きになっている」と指摘した。
中国国務院(内閣に相当)は4日の閣議で、銀行の預金準備率を「時宜を得た方法」で引き下げていく意向を表明したばかりだった。
人民銀は穏健な金融政策を維持するとともに、景気刺激策の「洪水」を避けるほか、逆周期(カウンターシクリカル)調整を強化し、適度に潤沢な流動性を維持すると表明した。
中国の4ー6月期の経済成長率は6.2%と、約30年ぶりの低水準に落ち込んだ。政府は通年の目標レンジを6.0―6.5%としているが、モルガンスタンレーでは成長率がレンジ下限まで鈍化する見込みとしている。
前出のフー氏は「人民銀は今月、優良企業向けの最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を5―10bp引き下げ、年内に預金準備率をさらに50bp引き下げる」と予想した。