[チューリヒ 6日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は6日、景気拡大を維持するため、FRBが引き続き「適切に」行動すると再表明した。金融市場が追加利下げに向けたシグナルと見なす発言を改めて繰り返した。
パウエル議長はチューリヒで開催された討論会で「政策手段を用い経済を支援することがFRBの責務であり、われわれは引き続き経済を支えていく」と述べた。
その上で、17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定を巡り「FRB内で異なる見解が見られることも明らかだ」と述べた。
FRB内の見解の乖離を巡るパウエル議長の発言は、米労働情勢や消費支出が堅調な一方、米中貿易摩擦の激化や英国の無秩序な欧州連合(EU)離脱の可能性、世界的な景気減速などに端を発するリスクが存在することを背景にFRBが政策運営のかじ取りで苦悩していることを浮き彫りにした。
パウエル議長は、米国と世界経済が妥当なペースで拡大を続け、景気後退に陥る公算は小さいと予想。同時に、貿易を巡る不透明性などのリスクや「横風」に直面していることから、FRBは地政学リスクや金融状況、入手される指標を注視し、どのような措置を講じるか検討していくと述べた。
トランプ大統領はこの日、FRBに対し利下げを実施するようあらためて圧力を掛けた。
パウエル議長は、トランプ大統領の要求だけでなく、金利決定に当たり来年の米大統領選を念頭に置くよう求めたニューヨーク連銀前総裁のウィリアム・ダドリー氏の主張にいずれにも耳を傾けないとし、「政治的要因がFRBの金融政策過程で考慮されることは決してない」と言明、「景気拡大の維持に向けて適切な行動を取る」と表明した。
今月のFOMC前に示されるFRB当局者の公式な発言としては、パウエル議長のこの日の発言が最後となる見通し。