日本が先月、半導体・ディスプレー核心「3大品目」の輸出を規制したことを受け、韓国政府はこれを世界貿易機関(WTO)に公式提訴することにした。 

  兪明希(ユ・ミョンヒ)産業通商資源部通商交渉本部長は11日、政府ソウル庁舎で会見し、「政府はわが国の利益を保護し、政治的な目的で貿易を悪用する行為が繰り返されないようWTOに提訴することにした」と明らかにした。政府は日本の輸出規制措置が韓国大法院(最高裁)の強制徴用判決と関連した政治的動機によるもので、日本が貿易にこれを悪用したと判断した。 

  政府がWTO提訴を決定したことで、提訴の根拠と今後の手続きに関心が集まっている。政府が2国間協議の要請書に示した根拠は大きく3つある。 

  まず政府は日本の措置がWTOの差別禁止義務(最恵国待遇義務)に反すると見なした。関税及び貿易に関する一般協定(GATT)によると、一国が特定国に付与した最も有利な恩恵は第3国にも同等に適用されなければならない(1条1項)。ところが日本が3大品目に関して韓国だけを特定して包括許可から個別輸出許可に転換したのは最恵国待遇義務違反というのが、政府の説明だ。 

  3大品目の輸出規制によって韓国企業が深刻な被害を受けたという点も取り上げた。兪本部長は「自由に貿易していた3大品目を包括許可から個別許可に転換したことで、当初は注文後1、2週内に調達が可能だったものが90日まで必要となる政府許可手続きを踏むことになった」とし「これは輸出制限措置設定維持禁止義務に違反する」と明らかにした。GATT11条1項によると、WTO加盟国は輸入・輸出許可や関税・租税賦課を通じて輸出を禁止、制限できないよう義務づけられている。 

  また、日本が政治的な理由で貿易を恣意的に制限したのは貿易規定を一貫して合理的に運営すべき義務(GATT 10条3項)にも抵触すると見なした。 

  しかし政府は先月28日に日本が施行した「ホワイト国」除外措置については訴訟の根拠から外した。該当措置によって追加の規制が具体化しなかったというのが理由だ。しかし韓国も来週「ホワイト国」から日本を除く方針であるため、関連措置を含めれば韓国側の根拠が弱まるという点も考慮されたとみられる。 

  一方、韓国が11日、日本に2国間協議を要請したことで、提訴手続きは事実上幕が上がった。日本側がこれを拒否すればWTOにパネル(裁判官)設置を要請し、1審裁判手続きに入る。兪本部長は「韓国が2国間協議を要請すれば日本が10日以内に受諾意思を表明することになっている」とし「2国間協議は少なくとも60日から必要に応じてそれ以上進行できるが、パネル設置に進む場合は該当手続きだけでも平均15カ月かかる」と説明した。しかし日本との水産物紛争が4年近く進行しただけに、1審に続いて2審(上訴)まで進む場合は紛争が2、3年まで長期化することもあると、兪本部長は説明した。 

  兪本部長は「日本の3品目の輸出制限措置で両国の企業とグローバルサプライチェーンに生じた不確実性が早期に解消するよう政府がすべての力を総結集して対応する」と述べた。