[ヘルシンキ 13日 ロイター] – 仏独は13日、共同声明を発表し、米フェイスブックの暗号資産(仮想通貨)「リブラ」は金融部門に対するリスクとなるとの見解を示し、欧州での認可を阻止する可能性を示すと同時に、代替となる公的な仮想通貨の創設に支持を表明した。
また、欧州中央銀行(ECB)はリブラのような仮想通貨プロジェクトが不要になるよう、「公的デジタル通貨」の創設に向けた長期計画を策定していることを明らかにした。
フランスのルメール経済・財務相とドイツのショルツ財務相は共同声明で、仮想通貨は消費者や金融安定だけでなく、欧州諸国の「通貨主権」に対するリスクとなると指摘。「リブラ・プロジェクトについてフェイスブックが明らかにした概要は、こうしたリスクに適切に対応できると納得できるものではなかった」とした。
ユーロ圏当局者は、欧州でリブラの認可申請があった場合は厳しい規制上の対応をとるほか、現在は規制対象となっていない仮想通貨に対し共通のルールを導入することが検討されていることを明らかにした。
ECBのクーレ専務理事はヘルシンキで開かれたユーロ圏財務相会合後の記者会見で、フェイスブックが発表したリブラ構想は「一種の警鐘」だったと指摘。「中央銀行が発行する仮想通貨を巡る構想を先に進める必要がある」と述べた。
こうした計画についてはこれまでのところあまり知られていないが、ECB当局者によると、銀行口座や決済機関などを通さずにECBに直接預金される電子通貨による決済を可能にする仕組みなどが検討されている。
クーレ専務理事は、フェイスブックがリブラ構想を発表する前にECBはこうしたプロジェクトに着手したと表明。技術的な実現可能性に疑問があるほか、銀行の反対も予想されるが、当局者によると、クーレ専務理事は来月の財務相会議に仮想通貨に関する報告書を提出する。
ショルツ財務相は「欧州各国の中央銀行が公的な仮想通貨を巡る取り組みを加速させることを望む」と発言。ルメール経財相は、銀行の国際決済手数料の引き下げも目指していると述べた。このほか、暗号資産(仮想通貨)に関する共通ルールを欧州連合(EU)として導入すべきだとし、EU加盟国にとって「共通の枠組み」が必要と指摘。フェイスブックが来年導入する予定のリブラを認めないという姿勢を改めて示した。
ルメール氏は12日、「リブラ」には金融のシステミックリスクや国の主権を脅かすリスクなどがあるとして、現在の条件では欧州への投入を認めないとの考えを示した。