【ロンドン時事】ジョンソン英首相が議会の長期閉鎖に踏み切った際、エリザベス女王にうそをついた疑いが浮上している。首相は「絶対に違う」と否定するが、最高裁は17日に関連訴訟の審理を予定。判決次第では、信頼なくして成立しない女王と首相の関係に大きなひびが入りそうだ。
ジョンソン氏は、新聞記者時代にでっち上げ記事で解雇されたほか、虚偽報告で所属政党の役職を解任された過去がある。欧州連合(EU)離脱を決めた2016年の国民投票でも、不正確な情報を言い広めて勝利を手中に収めたため、英メディアではしばしば「うそつき」呼ばわりされる。
問題となっているのは、議会を10月中旬まで約1カ月にわたり閉会とした理由。首相は議会の会期をいったん終了し、新会期の冒頭で施政方針演説を行うための正当な手続きだと説明し、閉会の権限を有する女王から8月下旬に許可を得た。
ところが、野党議員が差し止めを求めて提訴。閉会の真の狙いは、「合意なきEU離脱」も辞さない首相に抗議する議会の口封じだと主張した。
北部スコットランドの裁判所は11日、長期の閉鎖には「議会を妨害するという不当な目的」があるとした上で、議会制民主主義の根幹を揺るがす違法行為だと断じた。
政府はこれを不服として上訴した。ただ、最高裁では、議会の閉会という政治的な問題に司法が判断を下せるかが最大の争点となる見込み。首相が女王を欺いたか否かには触れられず、うやむやに終わる可能性もある。