【カイロ、ワシントン時事】サウジアラビア政府は18日、東部にある石油関連施設への攻撃で使われた無人機や巡航ミサイルの残骸などを公開し、攻撃はサウジと敵対するイランが「疑いなく支援している」と批判した。イランの関与を裏付ける「物証」を提示して責任を追及し、国際的なイラン包囲網を強める姿勢を鮮明にした。
米・サウジ両国は、軍事的選択肢も含めた対イラン報復措置の検討を本格化させる構えで、中東情勢は一段と緊迫しそうだ。
国防省報道官は記者団に対し、無人機やミサイルは「北から南へ飛行した」と主張し、イラン国内から攻撃された可能性を示唆。ただ、「正確な場所は今も特定を進めている」と明言は避けた。
米メディアの報道では、攻撃ではイランから無人機に加え、低空を飛行する巡航ミサイル十数発が使われ、強力なレーダー網が張り巡らされているペルシャ湾上空を避けながらイラク南部とクウェートの領空を通過したとされる。攻撃されたサウジ東部アブカイクなどでは、無人機やミサイルの一部とみられる破片などが既に回収されたという。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、中にはほぼ無傷のミサイルも発見された。回収されたミサイル誘導システムのデータ解析で、ミサイルの飛行経路や攻撃起点の特定につながる可能性もある。イランのロウハニ大統領は18日、「イエメン人が敵に警告するため攻撃した」と関与を改めて否定したが、イラン国内からの攻撃が立証されれば、米・サウジが強硬な対応に傾くのは必至だ。